アマゾンの酒造り

アグアリディエンテ・デ・カーニャ
ペルーアマゾン、イキトスではアマゾネスの薬草を浸して滋養強壮のための酒を常飲しているが、この酒は、アグアリディエンテと呼ばれ、砂糖キビを原料に蒸留酒して造られている酒にたくさんの薬草を浸して造られている。。この蒸留酒の起源は16世紀アマゾン川河口、ブラジル北東部ペルナンブコ、バイア州を中心にサトウキビ生産が拡大し、アマゾン川をさかのぼり栽培が盛んになるとともに酒造りも行われ始め、今に至っている。

バナナの羽の屋根で覆われた蒸留所、中央の木船は発酵槽

アマゾンの大地で育った泥濁りしたサトウキビの汁。木船の中で静かに発酵発酵される。

サトウキビから
アグアリディエンテの造り方

砂糖をつくるためにはまずサトウキビを圧搾するが、これから75〜80パーセントの割りで糖液がとれ、その搾りたての液には約12〜22パーセントの蔗糖と1パーセントに満たない還元糖(ぶどう糖や果糖)が含まれている。搾汁の糖分含有はブドウ果汁に匹敵するから、ワインに近い8〜12パーセントくらいのアルコール濃度の酒がサトウキビからできる。



(ブクブクと泡を立て勢いよく発酵する泥色をしたサトウキビ汁)
ここアマゾンの酒蔵には自然酵母の作用により、手を加えることなくアルコール発酵が始まる。その上、サトウキビには酵母のアルコール発酵を防げる成分が無いので、簡単にお酒を造る事ができる。サトウキビは、太古から熱帯、亜熱帯に広く分布していたといわれ、紀元前四〇〇年頃には、シャカ一族の家紋にサトウキビが使用されていたから、遠く離れたインドではすでに栽培されていたと考えられる。したがってこのような自然に発酵したサトウキビの酒は紀元以前にはすでに存在していたと断言できる。
サトウキビワインの味
このサトウキビの醸造酒はアルコール8パーセントとビールよりやや高め。香りは濃厚なざらめの香、味はかなり濃厚な甘口でこのままで飲むにはすこし抵抗があるが体力を消耗した体にはなかなか美味である。

サトウキビで造られたワインを蒸留するとても原始的な蒸留器

蒸留のしかた
木彫の船の中でアマゾンの空気と自然酵母で発酵したアルコール8パーセント前後のサトウキビワインは、まず左写真の原始的な石で固められたブリキ製ポットに入れられる。底ではサトウキビの樹液が搾り出された樹皮を薪の変りに燃やしサトウキビワインを沸騰させる。サトウキビワインがアルコールの沸点78℃に達すると蒸気となり管を通り大きなドラム缶へと流れ込む。そしてブリキのポットの中は分離された水分だけが残る。

困難な蒸留
蒸留酒は火を使い液体を沸騰させてできあがるが、アマゾンでは雨が多くそのうえ湿気が異常に高いため、燃料になる薪に火がつかないのである。そのため一度着火した蒸留器の窯内の火は、絶える事なく燃やし続けられる。そのブリキ蒸留器の上には、湿ったサトウキビの樹皮が放置され水分を飛ばしたあと薪を燃やす苦労の火の戦いが行われている。


蒸留された新鮮なアグアリディエンテ酒と蒸留を見守る少年

ブリキ製の蒸留窯の中で沸騰したサトウキビワインは蒸気となり管をとおりドラム缶の中にためられたアマゾンの水で冷却され再びアルコールの濃度の高い液体となる。最初にドラム缶から流れ滴る酒は、アルコールが高く40℃近く濃度も高い。しかし、時間がたつにつれ、アルコール度数も低くなってきて。最終的には25℃前後のお酒に仕上がる。このような古式な単式蒸留器ではフランスのコニャツクやロシアのウォツカなどのようにアルコール60℃以上の原酒を抽出するのは不可能といってよいだろう。













40kg近い満タンに酒の入った斗瓶を街に出荷するため重労働をする少年、少年達の重労働は国際問題になっている。しかし子供達が働かなければ生きていけないという環境を目の前にした僕は、日本での義務教育がどれほど貴重なものかを考えさせられた。この子達は、学校にいくどころかテレビもラジオもないアマゾンの酒蔵で働く三昧の生活を送っているのが現実である。少年達の汗の結晶の塊の酒、アグアリディエンテは、船で街に運ばれアマゾンの豊富な薬草を浸して酒屋で売られるのである。



親子三代、アマゾンで過酷な酒造りを行う、ブラジルファミリー
左から、ジュンロウ、息子、社長、おじいさん