ウクライナ

<1996年9月24日>
激動のペレストロイカから5年、政情不安定なロシアの首都モスクワを飛び立ったアエロフロートイリューシンは、1991年、ソビエト連邦から独立して間もない、19世紀ロシア革命の一中心地であったウクライナの首都キエフに舞い降りた。そこから、プロペラ機に乗り継ぎ南下すること1時間、1945年2月、第二次世界大戦終結の会談が行われた、黒海に面したクリミア半島、ヤルタへ飛んだ。そこでは、旧ソビエト時代から最高品質の赤ワインが造られてきた。


クリミア半島のぶどう畑と黒海

ウクライナのワイン事情
1991年、独立を果たしたウクライナ共和国は、ソビエト崩壊以前、約379.000ヘクタールがぶどう畑に使われており、面積の点ではソ連最大のワイン産地であった。現在では1億6.000万リットルのワインを産出している。現在ウクライナ共和国には3つのぶどう栽培地域がある。ひとつめは、ムハチェーボMoukhatchevoを中心に集っているハンガリーとの国境い近いカルパチア山脈沿いのウクライナ地方。ヘルソンKhersonとオデッサOdessaとニコライエフスクNikolaievskノ付近の沿岸地方、そして今回、私が訪れたウクライナきっての高品質赤ワイン、発泡性ワインを生産するクリミア半島であるクリミア半島は、じつに年間1.200万本もの発泡性ワインを産出している。特にヤルタに近いマサンドラ村は、個性豊かなたくさんのワインを産することで有名である。ここクリミア半島は、20世紀始めは、クリミア戦争でナイチンゲールが活躍し最近では、ペレストロイカ時、有名な前ソビエト書記長、ミケーレ・ゴルバチョフが監禁された地、現ロシア書記長、ウラジミール・プーチンの別荘があることでも知られている温暖な土地なのである。では、クリミア半島のワイン造りを紹介しよう。


クリミア半島のぶどう畑

愛犬のシェパードと共にぶどう畑を管理している身長1m90cm以上ある元ロシア軍人の大男、マスカット・アレキサンドリアぶどうを片手にポーズをとるスラブヤニスコエさん。彼はこの外観で、非常にぶどうに詳しくワイン評論家であるのに

驚かさせられた、人は見かけで判断してはいけないとは、この事

ウクライナのぶどう栽培面積の3分の1以上を絞める、温暖なクリミア半島では、フランス、ボルドー地方と同じ垣根造りによるぶどう栽培が昔から行われてきた。土壌は石のごろごろしたあれた土地で滑らかな南斜面にぶどうがなっている。右写真のスラブヤニスコエさんのぶどう畑では、フランス、ボルドーで盛んに栽培されている、カベルネ・ソーヴィニオンをはじめ、フランスのワイン産地名前のついた“カオール”(マルベック)なども広範囲に栽培されている。驚くことにエジプト原産の食用ぶどう、マスカット・アレキサンドリアの甘い大きなぶどうには、圧巻である。


ヤルタにあるワイン試飲場

港町ヤルタにあるとても小さなワイン試飲場、熱心に観光客の少ないとても狭い地下のワイナリーで熱心にウクライナのワインを説明してくれたレオナード爺さん(左)、とジュンロウ

ヤルタワイン試飲場
とても小さな観光地ヤルタ、黒海沿いに続く海岸通り、レーニン通りの目立たない食品や裏門の地下に、とても小さなたくさんのクリミアワインを試飲させる、とても面白いセラーがある。ここでは写真左のレオナード爺さんが、ほろ酔い気分でワインの説明を一時間くらいしてくれる。(ロシア語とウクライナ語が可能)言葉が理解できなくても、レオナード爺さんのワインに対する情熱は伝わってくる。

ウクライナワインをこよなく愛するワインに囲まれ少し酔っ払いながらウクライナワインを語るレオナード爺さん。彼は外国のワインに対してもかなりの知識を持っている。
写真左に並べられた種類豊富なクリミアワインは、レオナード爺さんのワインの説明を聞きながら10種類すべて試飲ができる。
では、レーニン通りの小さなワインセラーで試飲した10種類のクリミアワインの数々を簡単なコメントとともに紹介しよう。

*ロシア文字のためカタカナにて記載します



カベルネ クラスナーエ 甘口の多いいクリミア産赤の中でも珍しい、軽めの辛口ワイン、食事に雄一マッチする一本。
ヘレス マサンドラ スペインのシエリー酒タイプ、褐色を帯びた色の濃い甘口Amonritlladタイプ
マデラ 本場のポルトガル産マデラワインとは少し異なり、かなり軽い
ポルト ヴィーノ クラスナーエ 本場のポルトガルのポートワインに比べさっぱりしている飲みやすさ。
ムスカテル クラスナーエ 他の国と異なり、マサンドラのムスカテルは赤い濃厚な甘口ワイン
ムスカ ベリイ マサンドラ 香ばしい麦の後味を残す茶褐色の甘口ワイン
トカイ スラコ-エ すばらしい、本場ハンガリーのトカイも顔負けの甘口デザートワイン
ピノ グリ マサンドラ ダーク・ブラウンの個性的な甘口、3回飲めば憶える味
バスタルダ しょう酸味のする濃厚な甘口ワイン、カゴールににている
ミサト とてもグロテスクな紅茶色が特徴の甘口ワイン

一言 すべてのワインの10種類試飲し、情熱的なレオナード爺さんのワインの説明を聞いて、10ウクライナクーポン(約六〇〇円)と日本円では決して高くない穴場的観光名所である、しかし、あまり多くの観光客には知られていないのでウクライナを訪れた時は、クリミアワインを飲む目的だけで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。ちなみにレオナード爺さんのワイン試飲場の近くには、ロシアの詩人、チェーホフが過ごした家などもあるので立ち寄る価値がある街と断言できます。

 レオナード爺さんのヤルタワイン試飲場への行き方
ヤルタ港からゴーリキ公園に向かいレーニン海岸通りを歩き、右手に見えるモルスカヤ通りの手前にある小さなワインの写真が飾られた小さな入り口がワイン試飲場の待合室である。そこでレオナード爺さんにあい少し歩いた裏庭に試飲場がある。   
1時間30分の説明、10種類のワインを試飲、10ウクライナクーポン(約600円)
若者、カップル達のデートコースでもある


マサンドラ・ワイナリー


マサンドラ・ワイン醸造所の入場券(6クーポン、約360円)

ヤルタの街から南西に15kmいったところ、アイ・ペトリ山の麓にあるマサンドラ・ワイン醸造所、黒海の潮風受けなが野外でゆっくり樽熟成されるマサンドラワイン

ルビー・オブ・クリミア(クリミア半島の宝石)と称されるウクライナ最高の甘口赤ワインマサンドラは岩山アイペトリ山(1.234m)の麓で栽培された種類豊富なぶどうは、黒海に面した、黒海の眺望がすばらしい、アルプカとてもきれいなマサンドラワイン醸造所に運ばれ、最高の赤ワイン造りが行われる。マサンドラの良質な甘口赤ワインは、黒海の潮風に吹かれながら、大樽で3年以上の熟成をされ瓶詰めされる。

テーブルの上に並べられた輝くワイングラス、ここはどこ?と自分を見失うほどすばらしい、マサンドラワイン醸造所のテイスティングルーム。ここは多くのロシアのVIPを含め観光客が訪れるが、とりわけワイン好きのフランス人が多いとのこと。それでは!ここマサンドラワイン醸造所で試飲できる9種類のワインをコメントを交えながら紹介しよう!!!

カベルネ・ソーヴィニョン  酸味強し、とても軽いライトボディタイプ、少しパンチにかけるがクリミアのワインはやはり甘口がいい>
マディラ マサンドラ  ボディがのった驚きの味 セルシアタイプ
ヘレス マサンドラ  本場スペインとは異なり、トロリ感を持った辛口ワイン。色が濃いのでアモンティリャードといったほうが言い。
ポルト ヴィーノホワイト  白く濁りを帯びたさっぱりした特徴の甘口ワイン
ポルト ヴィーノ クラスナエ  本場ポルトガルのポートよりさっぱりサラサラした甘口ワイン
カクー  琥珀色した果物香ある香ばしいワイン、フランス、ジュラ産のヴァン・パイユのようなワイン
ピノ・グリ・マサンドラ  ウイスキー色をした琥珀色、かなり甘味の濃い甘口ワイン(フランスのピノグリとはまったく異なる)
カゴール(カオール)  深いダークレッド、醤油味の濃厚な甘口ワイン(教会のミサに使用される)

一言
これだけのクリミアワインを試飲して、6クーポン(約360円)とは安過ぎる、大満足、しかし甘い濃厚なウクライナの赤ワインは、翌日、頭にくるので本当に注意!!!!
ジュンロウは夜中から朝にかけホテルで黒海のほとりのホテルで独りで苦しんでいた。

マサンドラ醸造所への交通

ヤルタの中心、バスターミナルで27番線のアルプカ(ARPUKA)行きのトロリーバスにに乗ろう。アルプカまではトロリーバスに揺られること約1時間で到着する、そこからアルプカ城を見物して道なりに黒海方向に坂道を下るとマサンドラ・ワイン醸造所に到着する。  では!!くれぐれも飲み過ぎに気をつけてください